認知症予防、実は「歯」が関係しているかもしれません
「物忘れが増えてきた」「将来、認知症にならないか不安」——そう感じたことがある方は少なくないでしょう。認知症予防といえば、運動や脳トレ、食生活の改善を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし近年の研究で、意外な要素が認知症の発症リスクと関わっている可能性が指摘されています。それが「歯の本数」です。
この記事では、
- ・歯の本数と認知症リスクの関係
- ・なぜ歯が脳に影響を与えるのか
- ・歯を失った場合の対処法
- ・日常生活でできる予防のポイント
について、分かりやすく解説します。歯科医院の視点から、お口の健康と脳の健康のつながりについてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
1.残っている歯の本数が、認知症の発症リスクに関わる可能性

認知症は、加齢や遺伝が主な原因だと考えられがちです。もちろんこれらは大きな要因ですが、それだけでは説明できない要素として、歯の本数との関連が研究で示されつつあります。
年齢を重ねるにつれて歯を失う方は多くいますが、残っている歯の本数と認知症の発症リスクには、一定の相関関係があることが分かってきています。ある研究では、65歳以上で歯が20本以上残っている方は、歯がほとんどない方と比べて、認知症の発症リスクが約半分程度だったと報告されています。つまり、歯の本数が少ない方は、多い方に比べて発症リスクが2倍程度になる可能性があるということです。
もちろん、これはあくまで統計的な傾向であり、歯の本数だけで発症の有無が決まるわけではありません。加齢、生活習慣、遺伝など、さまざまな要因が複合的に関わっていると考えられています。しかし、日頃のお口のケアが将来の脳の健康にもつながる可能性がある、という点は知っておく価値があるといえるでしょう。
自分の歯が現在何本残っているか、普段意識する機会は少ないかもしれません。まずは歯科検診で、ご自身のお口の状態を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。
2.なぜ「歯」が脳に影響するのか

歯は「センサー」として脳に刺激を送っている
歯が認知機能と関係すると考えられている理由の一つに、歯の神経の働きがあります。歯の根の部分には神経が通っており、この神経は脳とつながっているとされています。歯の神経は非常に敏感で、上下の歯の間にわずかな異物が挟まっただけでも感知できるほど鋭敏だといわれています。
つまり歯は、食べ物を噛む役割だけでなく、外部からの刺激を感知する「センサー」としての役割も担っていると考えられています。食事や歯磨きのたびに、この刺激が脳へと伝わり、脳が活発に働く一因になっているとされているのです。
「噛む」という行為が脳を活性化させる
食事の際に噛むという動作は、単純な動きに見えて、実は多くの神経や筋肉を使う複雑な運動です。噛むことによって脳への血流が促進されるともいわれており、咀嚼という行為自体が脳への刺激になっている可能性があります。
普段何気なく行っている「噛む」という動作が、実は脳の健康を支える重要な役割を果たしているのです。よく噛んで食べることを意識するだけでも、脳への良い刺激につながると考えられます。
3.歯を失うとどうなるのか、対処法とあわせて解説

歯を失うと、脳への刺激が減る可能性がある
歯を失うと、これまで脳に伝わっていた刺激が伝わりにくくなると考えられています。刺激が減ることで脳の反応が鈍くなり、機能の低下や萎縮につながる可能性が指摘されています。使われなくなった部屋が徐々に傷んでいくように、刺激を受けなくなった脳も同様の変化が起こりうる、というイメージです。
特に奥歯を中心に複数の歯を失った状態が続くと、噛む力そのものが弱まり、脳への刺激がさらに減少しやすくなると考えられています。歯を失った状態を「仕方がない」と放置してしまうことが、思わぬリスクにつながる可能性があるのです。
歯を失っても、対策は可能
ただし、すでに歯を失っている場合でも、諦める必要はありません。入れ歯やブリッジなどの補綴治療によって噛む機能を補うことで、認知症の発症リスクが一定程度低下する可能性があるとする報告もあります。
歯を失った状態をそのままにせず、適切な治療で噛む機能を取り戻すことが、脳の健康を保つ上でも大切だと考えられています。「歯がないから仕方ない」とあきらめず、ご自身に合った治療方法を歯科医師に相談することが第一歩です。
4.歯と脳の健康を守るために、日常でできること

毎日の歯磨きと定期検診を習慣にする
歯を失う主な原因は、虫歯や歯周病です。これらは日々の丁寧な歯磨きと、定期的な歯科検診によって予防・早期発見できる可能性が高まります。
-
- ・毎食後の歯磨きを習慣化する
- ・フロスや歯間ブラシを併用し、歯と歯の間の汚れも取り除く
- ・3〜6か月に一度は歯科検診を受ける
- ・歯ぐきの腫れや出血など、歯周病のサインを見逃さない
こうした積み重ねが、将来にわたって自分の歯を守ることにつながります。
よく噛んで食べることを意識する
早食いや柔らかい食べ物ばかりの食生活は、噛む回数を減らしてしまいます。食材を大きめに切る、噛み応えのある食材を取り入れるなど、日常の食事の中で「噛む」機会を増やす工夫も効果的です。
全身の生活習慣にも目を向ける
歯や口の健康だけでなく、運動習慣、バランスの取れた食事、十分な睡眠、人との交流なども、認知症予防において重要とされています。お口のケアと合わせて、生活全体を見直すことが、脳の健康を守ることにつながると考えられます。
5.まとめ:歯を守ることは、脳を守ることにつながります

重要ポイントのおさらい
-
- ・65歳以上で歯が20本以上残っている方は、そうでない方に比べて認知症の発症リスクが低い傾向にあるとされています
- ・歯の神経は脳とつながっており、噛む・触れるといった刺激が脳の働きに関係している可能性があります
- ・歯を失うと脳への刺激が減り、機能低下のリスクが高まる可能性があります
- ・入れ歯などで噛む機能を補うことで、リスクを軽減できる可能性があります
- ・日々の歯磨きと定期検診、よく噛む習慣が、歯と脳の健康を守る基本となります
受診を検討するタイミング
「歯がぐらつく」「噛みにくさを感じる」「歯を失ったまま治療をしていない」といった場合は、早めに歯科医院での相談をおすすめします。噛む機能を放置せず、適切な検査を受けることが大切です。
セルフケアのポイント
日頃の丁寧な歯磨きに加え、定期的な歯科検診を受けることで、歯を失うリスクそのものを減らすことができます。すでに歯を失っている部分がある場合も、入れ歯などの治療で噛む機能を補うことが、将来の脳の健康につながる可能性があります。
歯の本数や噛み合わせは、口の中だけの問題ではなく、全身、そして脳の健康にも関わっている可能性があります。「歯を大切にすること」は、将来の自分の脳を守ることにもつながるかもしれません。名古屋市中川区の風岡デンタルクリニックでは、噛み合わせや歯を失った部分の治療についても、患者様一人ひとりの状態に合わせてご相談を承っております。気になる症状がございましたら、お気軽に名古屋市中川区の風岡デンタルクリニックへご相談ください。
過去噛み合わせによる体の不調に関するコラムを投稿しておりますので、こちらも合わせてご確認いただくことで、より理解が深まります。⇨薬が手放せない肩こりや頭痛は噛み合わせが原因?見極め方と3つの対処法を名古屋市中川区の風岡デンタルクリニックがご紹介!